”回路図”というものの原点に返って考えて見ましょう。

実は回路図だけでは、さまざまな情報が十分ではない場合があるということを再認識するためです。回路図はもともと”ものづくり”をするための図面と、”電気的な動作や原理を表現”するための図面の機能を持ちます。言い換えれば、”配線図”と”等価回路”に別れると思います。

配線図とした場合、一番簡単な回路、例えば、電池と電球をつなぐ場合、回路図をどのように描きますか?

図1のように物と物をどのように”配線”するかを回路図で表現してみますと、図1のように描くかと思います。しかしながら、これでは実体配線図(昔は良く使われました)で表現しますとわかるように、完全ではありません。

ものづくりはものづくりで、電池と電球にじかに半田付けをするのか、といわれるとそうではなく、実際には電池ホルダや電球ソケットが入ります。

その場合は、電池や電球はホルダやソケットとして部品名称を置き換えます。つまり、回路図だけでは不完全です。しかし、単に置き換えればいいか、というとそれでもまだ不完全です。

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電池交換、電球交換できない、電線が邪魔で使用に耐えない。(スイッチは初めから考えから除外します)実際に半田付けするわけではなく、実際には以下のように置き換えられます。

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また、配線も、電線ではなく、基板上に実装されたり、

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ものづくりをする場合は回路図だけの情報では、仕様によっては上記のように色々な状態が考えられるため、回路図のほかに別途”部品表””指示書””組み立て図”等が物作りにおいては必要なアイテムになります。

回路図だけで部品表を作成すると場合によってはネジやケースなど回路図に無いけど必要なものが抜けたりします。回路図で一元化しようとする試みも行なわれていますが、少なくともものづくりにおいては回路図は単に”配線をどのようにするのか”を表現しているに過ぎない、(=つまり配線図、ネット情報)と考えたほうが良いかと思います。

ものづくりはこのように大変ですが、ここからは動作や原理を確認する場合で見ていきます。

電気の性質を検討する場合(=等価回路)は全く回路図の様子が異なる場合があります。

完成品に対して、電気的に何が問題になるかを考えた場合、この場合は電球を光らすだけですので、あえて問題にするとしたならば、電流をたくさん流さなければならないような大出力の電球もしくは電線が極端に細い場合、遠方まで配線が必要な場合は以下のように表現します。

ただし、逆にこれをものづくりに置き換えてしまいますと抵抗は不要なアイテムになります。

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また、電線は金属ですので近接すると”コンデンサ”成分にもなりえます。電球を使う場合は全く問題にならないほど小さな値なので、特に表現は必要ありません。

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このように電線そのものは金属の部品として考えますとその配置や距離、状態によってはさまざまな回路に変化しますが実際の”電気を光らす”機能に影響を及ぼさないので理想として扱い、一つの線で表現しているに過ぎません。

また、ソケットなどを使うのであれば、”接触抵抗”というものがあります。

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更に遠方に伝送するため、電圧をかなり上げた場合、電源両端の漏洩電流も気になってきます。

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直流だからあまり意識はしないでしょうが、電池や電球を交換した瞬間にスイッチと同じ効果で”スパーク”がでる可能性があります。それは電線のL成分による影響です。

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図1と図10を比較していただければわかるようにもはや別の回路です。何をどのように意識するか?によってどんどん煩雑になるこれが等価回路です。ものづくりのための回路図とにらめっこして、”回路図どおりなのに..”ということはよくある話で、特に昨今の素子の高性能化、信号の高速化によって、こういった配慮がかなり重要なファクターとなってきています。

回路図だけではなく、要求される仕様と、物をよく見ながら、等価回路を意識することで何が問題なのか見えてくることがしばしばあります。昨今の回路設計者はものづくりと等価回路動作、この両面での配慮を要求されるため、さまざまな知識を要求されるのです。

次回からはものづくりの方面ではなく、SI解析の方面の話なので”等価回路”の話を継続して行ないます